July,2015
慌ただしい日々のなかで、なんだか息切れ気味の7月。たまにはスマホやPCから離れて息抜き時間を作りませんか?
今回のコラムでは、あなたの心とからだをゆっくり癒してくれる海辺のヴィラ“Birth the suite(バース ザ スイート)”のオーナー、中村 麻実子 さんに沖縄 備瀬(びせ)の魅力や、旅での過ごし方を伺いました。
――どこか不思議な世界に迷い込んでしまったような感覚
森と海が密接した原初を残すこの場所には、何かに守られているような神秘的で不思議な時間が流れています。数年前にこの地に足を踏み入れたときに、どこか別世界に迷い込んだような感覚になりました。東京に戻った後も備瀬のことが忘れられずに、この土地に自分の理想の空間を作る決心をしました。
後々、備瀬集落を研究されている琉球大学の教授にお話を伺う機会があり、ここが琉球王朝時代に風水をもとに作られた集落だということを知りました。沖縄に住む人たちの中でも、神事が多い神聖な場所ということで知られています。この神聖な場所に建物を建てるために集落の神事を司るノロ(沖縄の女司祭)に相談したところ、「土地が決めてくれますよ」とのお答えを頂き、その後順調に事が進み、2012年の夏にこのヴィラをオープンさせました。
――海辺の生活に一番似合う素材がリネンだと思いました
沖縄の文化は“チャンプルー文化”ともいわれるように、東アジアの様々な国の文化が混ざり合い、独自の成熟をとげた極めて特異な文化を育んできました。そのため、内装のインテリアもどこかアジアの空気感があるものを選びました。また、海沿いにあり1年を通して平均70〜90%の高い湿度環境のため、ヴィラでお使いいただくタオルやシーツには さらりとしたリネン素材がしっくりくると思いました。リネンアンドデコールさんは、リネンを扱うプロとして、豊富な知識と洗練されたデザイン性がとても気に入ったので、お客様をおもてなしするアイテムとして迷わず選びました。
――使えば 使うほど“ピン”となるリネンの魅力
お客様のお好みも考え、ヴィラではリネンと綿のタオル両方をご用意しています。同じ頻度で洗濯していますが、リネンのタオルはくたびれず、使うほどに“ピン”として強くなるような気がします。実際に私自身もリネンのタオルを愛用していて、今では手離せません。 湿度の高い沖縄の気候にリネンのさらりとりた肌触りが心地良く、お客様からもどこのものか聞かれることが多いです。
――自然とともに生活しながらゆっくりと自分を取り戻す
一日に2度、海は満ち、そしてひいてゆく。そんな当たり前の地球の営みを本当に美しいと感じることの出来る場所。ここでは、いつのまにか忘れてしまっていた自然とつながる感覚を、おだやかに目覚めさせる体験が出来ます。ご利用いただくお客様は、30代後半〜40代の働き盛りの方が多く、みなさん本当にお忙しそうです。ご予約頂くときにお電話でお話を伺うのですが、声からもお忙しさが伝わってきます。実際にこちらへ到着されたときにはまだ都会の慌ただしさを背負ってこられているような気がします。でも不思議なことに、2〜3日滞在していただくと、皆さん驚くほどに顔つきが変わります。数年前に私がこの集落に足を踏み入れたときに感じた静かで平和な時間の流れや、母性のような、ゆったりと大らかに包みこむ力にお客様も癒されているようでとても嬉しいです。
理想の空間とは美しくしつらえられた部屋だけで完成するものではなく、自然の力をかりることで、それに近づくような気がします。
その事を教えてくれた中村さんのゆったりと温かな声からも備瀬の優しさが伝わってきました。