ブラックリネンで秋のおもてなし vol.2
October 2019
text Mari Matsunaga
photo Sally
フードコーディネーター黒田祐佳さんに教えていただく、「ブラックリネンをつかった秋のおもてなし」第2話。
祐佳さんが毎月ご自宅で開催している料理教室は、デモンストレーションのあと、席について一品ずつサーブされたものを試食するスタイル。季節感あふれるセッティングのテーブルと旬の食材を使った料理はレストランでのランチみたいと好評です。
この秋実践したい、リネンも器もブラックをベースにした洗練されたテーブルコーディネートと風味豊かな煮込み料理をご紹介します。
料理を引き立てるブラックの包容力
最近はブラック系の色の濃い器に惹かれるという祐佳さん。選ぶ理由はサラダや、刺身、肉料理などどんな料理も受け止めてくれる懐の深さがあるから。同じ理由で、ブラックのテーブルリネンもまた器を選ばず、場をまとめてくれる力があるといいます。
「一見、使いこなすのが難しそうに思えるブラックのクロスですが、実は初めての一枚にもおすすめのカラー。ホワイトやナチュラル色のクロスよりも断然おしゃれな雰囲気になり、また汚れが目立たないので扱いやすいと思います」
テーブルクロスを敷くと、みんなで食べている、おいしさを共有しているという一体感のようなものができます。おもてなしのときだけでなく、普段の生活でもお鍋やみんなで取り分けて食べる大皿メニューのときにも使えそうです。
「リネン&デコールのこのクロスは生地が厚すぎないので、ブラック単色でも重くならず、フォーマルにもカジュアルにも、そして季節を問わず使えそうですね。上質な麻ならではの素材感が、洋食器だけでなく和食器ともよく合い、ニュアンスのあるテーブルに仕立ててくれます。漆器と合わせても素敵なのでお正月にも使いたいです」
クロスは大きくてアイロン掛けが大変という声をよく聞きますが、座りながらではなく、立ってかけられる高さのアイロン台を使うと早くきれいにシワがとれると教えてくれました。
シックなセッティングには遊び心をプラス
器とリネンともにブラックを基調にしたコーディネートのなか、目を引くのが、動物や植物をコラージュした比留間郁美さんの器。「フリーダ・カーロ」をテーマにした器の企画展で購入したという個性的な柄の器がテーブルを華やかに演出してくれます。
アンダープレートは、蔵前にある「SyuRo」オリジナルの「せっ器プレート」。単体でも使いやすく、電子レンジ、オーブン、食洗機にもかけられる優れものです。
「アンダープレートを使うとおもてなし度も上がりますし、食事中、クロスを汚したらどうしようと心配されるお客さまにも安心してもらえます」
アンダープレートに添えるリネンのナプキンはスティック状にするとすっきりモダンな印象に。山側ではないほうから巻くときれいに巻けます。
メインの煮込みは前回ガトーショコラを盛り付けた中鉢と色違いの二階堂明弘さんの器に盛り付け。深さのある器は、汁ものはもちろんですが、サラダなども高さをだして盛りやすく、見栄えがするので重宝します。テーブル中央にある前菜を盛った高台皿も同じく二階堂さん作。センターピースには高さのある器をもってくるのがポイントです。
材料(4人分)
鶏骨付きモモ肉 4本
塩 小さじ1
たまねぎ 1個
りんご 1個
チキンストック 200ml
ローリエ 1枚
生クリーム 100ml
しめじ 1パック
ベーコン 20g
ナツメグ 適量
黒胡椒 適量
作り方
1.鶏骨付きモモ肉は関節のところで切り、塩をもみこんでおく。
2.鍋にオリーブオイル小さじ1(分量外)を熱し、スライスした玉ねぎを焦がさないように、しんなりするまで炒める。
3.フライパンにオリーブオイル大さじ1(分量外)を熱し、1の鶏肉の表面を焼き付け、2の鍋に加える。
4.半分すりおろし、もう半分はくし切りにしたりんご、チキンストック、ローリエも加え、蓋をしてコトコト40分ほど煮る。
5.先ほどのフライパンにオリーブオイル小さじ1(分量外)を熱し、細切りにしたベーコンと小分けにしたしめじを焼き付ける。
6.4の煮汁を半分くらいに煮詰めてから生クリームを加える。5も加え塩(分量外)で味を調え、ナツメグと黒こしょうをふって仕上げる。
仕上げにはぜひホール状のナツメグを削ってください。
粉末とは香りが全然違います!祐佳さんは青山のファーマーズマーケットで購入したナツメグがお気に入り。
ほかにTOMIZ(富澤商店)などでも手に入れることができます。
毎日をちょっとラクに、そしてハッピーに
30代から70代まで幅広い年齢の方が通っている祐佳さんの料理教室。特に重視しているのは料理の手順だといいます。
「例えば、サラダを作る際、ドレッシングを小さなボウルではなく大きなボウルで作り、そこに野菜を加えていけば洗いものがひとつ減りますよね。より簡単に、おいしく仕上げるための使いやすい道具やおすすめの調味料などについてもお話しします。教室では子育てや仕事で忙しい方でも作ってみようかなと思える料理を、そして日々の食事からおもてなしまで、さまざまなシーンで応用できるコツやヒントをお伝えできるよう心掛けています」
昨年は念願のガトーショコラブランド「yucca」を立ち上げました。きっかけは8年ほど前、ママ友達への手土産として渡したところ、編集者でもある友人に「おいしすぎる!!これは絶対売ったほうがいい」と言われたこと。友人や仕事関係の方からその知り合いへと、そのおいしさは口コミで広がり、食べる人みなを虜にしてきました。
「下の子どもが中学に進学し、子育てもだいぶ落ち着いたので、より多くの方に買い求めていただけるよう、オンラインショップをオープンしました。今はホールケーキ1種類ですが、ひと口サイズや常温でも保存できるタイプなどバリエーションを増やしていきたいと思っています。また引き菓子として使ってもらうなど幸せのお手伝いもしたいですね」と今後の展開を語ってくれました。
この10月には、ディレクションを手掛けている果実をテーマにしたカフェレストラン「K.MINAMOTO」が銀座にオープンしたばかり。その準備で大忙しの中、取材に応えてくださった祐佳さんですが、深夜まで仕事が立て込んでいても早朝に起きてお嬢さん二人分のお弁当を作ったりと家族の食事をとても大切にされています。
「器とリネンの力も借りて、簡単な料理でも手抜きに見せないのが得意(笑)。毎回時間をかけて料理をしなくても、安心して楽しく食べられることが健康な心身を作っていくと思います」と笑顔でお話ししてくださる姿が印象的でした。
黒田祐佳
フードコーディネーター
料理教室「Fou de FOOD studio」、ガトーショコラブランド「yucca」主宰。
カフェ・レストランの立ち上げやメニューの提案のほか、TVや雑誌などでのフードコーディネイトも手掛けている。
www.yukakuroda.com
www.yucca-chocolat.com