September, 2016
―― リトアニア人の休日の過ごし方
日本からはるか北ヨーロッパへ。バルト3国の一番南に位置するリトアニアは深い森に囲まれ3000以上も湖が点在し、ヨーロッパでも緑が多い国と言われています。この時期の休日には短い夏を惜しむように、近所の湖で湖水浴を楽しみます。泳いだり、ボートにのったり、日焼けをしたり、サイクリングや読書をしながら、皆思い思いの時間を過ごします。
―― リトアニア人と森との結びつき
そんなリトアニアの人々の暮らしには古来より「森」の存在が欠かせません。
春から夏にかけてはネトルやリンデン、タイム、白樺などのハーブ類を摘み、乾燥させてお茶にして風邪をひいた時にクスリ代りに飲んだり、サウナでのデトックスのために使います。特に夏の間はブルーベリーや野イチゴ、ラズベリー、スグリなどのベリー類が多く、その場で食べたり、乾燥させてお茶にしたり、冷凍したり、ジャムやソースを作ります。冬の間も森のビタミンがたっぷり採れるというわけです。夏から秋にかけてはキノコのシーズン。森のあちらこちらにアンズ茸やポルチーニ茸など様々なキノコが自生し、人々は早朝からキノコ狩りにいそしみます。採ったキノコは乾燥させて保存し、スープにしたり、ゆがいてソースに加えたり美味しくいただきます。冬には夏の間に森から切り出してきた薪で暖をとり、手仕事をしながら窓の外に広がる銀世界を眺めて春を待つのだそう。
―― この時期ならでは、南リトアニアへキノコ狩りへ
まだまだ明るく暖かな日も多いですが、北海道より緯度が高いリトアニアは9月ともなると朝晩はひんやりとした風が吹き、すっかり秋の気配です。―― 歩くと雪のように足跡がつくほどふかふかの森
街の中心から離れ、いざキノコ狩りへ向かいます。
松の森には清々しい香りが立ち込め、体を爽やかな空気が駆け抜けます。この地方の森は地面が柔らかなコケで覆われていて、歩くと雪のように足跡がつくくらい。キノコが生える条件にぴったりだそうです。
森には慣れた人と一緒に入らなくてはなりません。食べられないキノコもありますし、キノコを見つけるちょっとしたコツもあります。
落ち葉やコケの間に埋もれてこっそり顔を出していることが多いキノコ。きのこの周りを指で一周さわって苔からはずして、柄のなるべく下の部分から丁寧に引き抜きます。慣れている地元の人は「このあたりにキノコの匂いがする!」と言って見つけることもあります。ひとつ見つけるとそのあたりに幾つかのキノコが生えていることも。
キノコを見つけるのに一生懸命になっていると美しく立派に張られた蜘蛛の巣にひっかかる事も。体一杯に緑の匂いを吸いながら、心も体もリフレッシュしつつ、キノコ探しはしばし続きます。
小一時間ほど楽しく森をお散歩しながら採れたキノコたち。ほんのりと森の香りが漂います。
採れたてのキノコはソテーにしたりスープにしたり…その味はまさに絶品!
―― 自然豊かなリトアニア
初秋のリトアニア。夏の賑わいが去り、落ち着きを取り戻した町には静けさが漂い、ゆったりとした時間が流れます。リトアニアは人も街も素朴ながら温かく、時間の流れが本当に緩やかで気持が和らいでいくのが分かります。
まさにピースフルという言葉がぴったり。
どの家にも美しい花が咲き、木々が軽やかに風になびく様子は、本当に穏やかで美しいものです。
バレエやオペラのシーズンもスタートし、芸術の秋を楽しむ旅もできそうです。ぜひ皆さまもいつかリトアニアにいらしてみてください。